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作成:20141226 更新:20190117
この頁には、酒井泰斗が 朝日カルチャーセンター新宿などにおいて担当したルーマン関連の講義や関連する催しなどに関するこれまでの情報や今後の予定を掲載しています。
馬場靖雄ゼミナール:ニクラス・ルーマン講読
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ルーマン入門:『社会の理論』を〈社会のブックガイド〉として読む (全1回)
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じんぶんや「社会のブックガイド──ルーマンからはじめる書棚散策」
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ニクラス・ルーマン解読講座 (各 全3回)
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告知 | 著作 | ゲスト講師 | ||
講座案内 | 『制度としての基本権』 | 2015年10-12月 | 小山 裕 | 質疑応答 |
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講座案内 | 『目的概念とシステム合理性』 | 2016年04-06月 | 三谷武司 | 質疑応答 |
講座案内 | 『信頼』 |
2017年10-12月 | 小宮友根 | 質疑応答 |
講座案内 | 『法システムと法解釈学』 | 2017年04-06月 | 毛利康俊 | 質疑応答 |
講座案内 | 『権力』 |
2018年04-06月 | 長岡克行 | 質疑応答 |
講座案内 | 『リスクの社会学』 | 2015年04-06月 | 小松丈晃 | 質疑応答 |
講座案内 | 『マスメディアのリアリティ』 | 2016年10-12月 | 高橋 徹 | 質疑応答 |
講座案内 | 『近代の観察』 |
2018年10-12月 | 馬場靖雄 | 質疑応答 |
著作 | 刊行年 | ゲスト講師 | 検討観点1:行動科学 | 検討観点2 | 開講時期 |
『制度としての基本権』 | 1965 | 小山 裕 | 行動論的政治学 | ドイツにおける自由主義をめぐる論争 | 2015年 10/09、11/13、12/04 |
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『目的概念とシステム合理性』 | 1968 | 三谷武司 | 組織行動論 意思決定理論 |
行政学・組織論 | 2016年 04/20、06/29、07/20 |
『信頼』 | 1968 | 小宮友根 | ゲーム理論を用いた社会心理学実験 行動科学的行政学 |
ジンメル、ゴフマン エスノメソドロジー |
2017年 10/18、11/15、12/20 |
『法システムと法解釈学』 | 1974 | 毛利康俊 | 情報理論 | ドイツにおける法学方法論をめぐる論争 | 2017年 04/17、05/15、06/19 |
『権力』 | 1975 | 長岡克行 | 行動論的政治学 ゲーム理論 |
2018年 04/02、05/07、06/04 | |
『リスクの社会学』 | 1991 | 小松丈晃 | 社会心理学における帰属研究 | 発売時ならびに最近のリスク研究動向など | 2015年 04/20、05/18、06/29 |
『近代の観察』 | 1992 | 馬場靖雄 | 『社会の理論』+『社会構造とゼマンティク』 | 2018年 10/03、11/07、01/16 | |
『マスメディアのリアリティ』 | 1995 | 高橋 徹 | コミュニケーション研究 | マスメディアと政治 | 2016年 10/05、11/02、01/11 |
講義概要
「ルーマン解読」連続講座の最終回として、1992年に刊行された論文集『近代の観察』を取りあげます。1980年以降、ルーマンは自らの研究人生の集大成となる2つの著作シリーズ(社会の理論+社会構造とゼマンティク:計13巻)を続々と刊行していきましたが、この論文集は、その真っ最中(1990-91年)に行われた一連の講演を元にしたものです。
そこで本講義では、
論文集全体のテーマは──ギデンズの著作の邦訳タイトルを借用すれば──「近代とはいかなる時代か」であり、上掲2シリーズを補完するとともに、それらを理解するための補助線を示してもくれます。ただしルーマンは、先の問いに対して「この問いには答を出すべきなのか/そもそも出しうるのか」との疑念も提起するのですが。
- 第一講義[馬場担当]において、最も豊富な=雑多な論点を含む第五章を、現行馬場訳の問題点をも指摘しつつ(可能ならば、講座参加者には新しい訳文を提供するつもりです)改めて読解して、ルーマンによる近代社会論(の「脱構築」)がいかなる射程を有しているかを検討したうえで、
- 第二・三講義[酒井担当]では、二~三の章をとりあげ、これまでのシリーズ講義で浮かび上がってきた幾つかのフレーム──複雑性・有限性と合理性、社会分化と個体性、生活世界と技術、未来への対処に関わる語彙群など──が、最晩年の論考においても継続して深められていること、そしてルーマンがそこからどのような洞察を引き出しているのかを確認します。
なお、これまでの講座を受講されていない方も、問題なく受講していただけます。
※講義では邦訳テクスト(馬場靖雄訳、2003年、法政大学出版局)を使用します。お持ちの方は持参してください。
ゲスト講師紹介
- 馬場靖雄(大東文化大学社会学部教授)
- 京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了.専門は社会システム論、社会学史。
主な著書: 『ルーマンの社会理論』(勁草書房、2001年)ほか。
翻訳:N.ルーマン 『社会の社会』1・2(共訳、法政大学出版局、2009年)ほか
講義概要
1975年に刊行された『権力』は、〈シンボルによって一般化されたコミュニケーション・メディア(SGCM)〉論をある程度まとまったかたちで提出したという点で、ルーマン理論の形成史において一つの画期をなす著作だといえます。これによって、「機能分化した現代社会の成立を人類史的なタイムスパンにおける社会進化として描く」という構想に コミュニケーション理論からアプローチする、というルーマンのプロジェクトの最小限の道具立て(システム分化論+社会進化論+SGCM論)が いちおう揃ったことになるからです。
こうした事情を踏まえ、この講義では、死後刊行された『社会の政治』(2000)も併せて参照しつつ、
他方でこの著作は、70年代初頭に ハーバーマスとの論争によって一躍悪名を世に知らしめられることになったルーマンからの、ハーバーマスへの返答でもあります。数あるSGCMの中でも特に「権力」が選ばれたのは、「社会システム論には、対立や闘争の側面よりも現存支配体制の維持安定と効率とを重視するテクノクラート主義的な傾向があり、支配の諸関係や権力現象についてのリアリスティックな分析が欠けている」といった批判への応答でもあっただろうからです。というかたちで、この著作にアプローチしてみたいと思います。
- 第一講義(長岡担当)において、(1) どのような批判が社会システム論に向けられてきたのか、(2) それに対してルーマンはどう応えようとしたのか、(3) 権力理論をコミュニケーション理論として展開することの新規性はどのようなものだったのかといった点について、最近公刊された草稿なども踏まえた紹介をおこない、
- 第二講義・第三講義(酒井担当)において、(1) 特に「権力と政治」を話題にするにあたってルーマンが参照した行動論的政治学の権力論・政治システム論・意思決定論(ラスウェル、サイモン、イーストン、カール・ドイチェ、ダールなど)の概要を紹介したうえで、(2) ルーマンがそれらを、社会心理学における帰属理論や心理学・組織理論における学習理論・動機づけ理論などを使って、どのように解体再構成したのかを確認する
※講義では邦訳テクスト(長岡克行 訳、勁草書房、1986年)を使用します。お持ちでない方はお近くの公共図書館に購入リクエストを出してみてください。
ゲスト講師紹介
- 長岡克行(東京経済大学名誉教授)
- 神戸大学大学院経営学研究科博士課程終了 経営学博士。東京経済大学経営学部教授を経て、現在、名誉教授。ブッパータール大学経済学部客員教授、ヴィッテン・ヘルデッケ大学経済学部教授を歴任。
- 著書: 『企業と組織 グーテンベルク経営経済学研究』(千倉書房、1984年)、『ルーマン/社会の理論の革命』(勁草書房、2006年)。
- 翻訳書: ルーマン『権力』(勁草書房、1986年)
- 論文: 「社会理論としての社会システム理論とハーバマス=ルーマン論争」(『思想』680号、1981年2月)[CiNii]。「ルーマンの社会の理論:全体像と現代的意義」(『社会学研究』83号、2008年3月)[CiNii]
講義概要
1968年に刊行された著作『信頼』は、特に日本では著名な倫理学者によって邦訳されたこともあずかって、ルーマンの著作の中では比較的広く読者を得たものです。しかし、なぜこの時期にこのような形で信頼を取り上げなければならなかったのか、そしてまた ルーマン理論のなかで信頼という論題がどのような位置にあるのかは、それほど判明ではありません。
後期の著作群『社会の理論』の方から振り返ってみると、これが、ルーマン流の近代化論の内実を与える社会学的時間論を構築するための一論題として扱われていることが見えてきます。そこで本講義では、紹介することで、この著作に新たな光を当ててみたいと思います。
- 第1講義[小宮担当]において、ルーマンがジンメルとゴフマンに依拠しながら、エリアスを意識しつつ描いている
文明化の過程のストーリーを、
- (1)「それほど親しくない人への・その人の自己表現にもとづく信頼」が必要とされ・また可能になる(したがって、また「必要となる」ことが可能になる)論理的な条件としての機能分化した社会への転換と、
- (2) それにともなう行為の帰属先としての「個人の人格」の前景化、そして、
- (3) それによるダブル・コンティンジェンシーという形での複雑性の増大、という
- 第2・3講義[酒井担当]において、
- (1) こうした議論を展開する際にルーマンが学び・議論の基礎として用いた行動科学的信頼論(モートン・ドイチェによる社会心理学的実験研究)と、
- (2) 信頼と並んでルーマンがおこなっている 規範、契約、所有、リスク、危険といった論題との時間的観点からの比較を
ゲスト講師紹介
- 小宮友根(東北学院大学経済学部共生社会経済学科准教授)
- 東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了。専門はエスノメソドロジー/会話分析、ジェンダー論、理論社会学。司法におけるジェンダー問題に関心をもち、現在は裁判員裁判の研究、とりわけ裁判員評議の会話分析研究に取り組んでいる。
著書: 『実践の中のジェンダー──法システムの社会学的記述』(新曜社、2011)、「評議における裁判員の意見表明」(『法社会学』77号、2012)、「裁判員は何者として意見を述べるか」(『法社会学』79号、2013)、「強姦罪における『被害者資格』問題と『経験則』の再検討」(陶久利彦編『性風俗と法秩序』尚学社、2017年)など。
講義概要
ドグマはふつう、人々の思考を縛るものだと考えられています。しかし1974年に刊行された本書においてルーマンは、法専門職の仕事を例に取り、ドグマ的思考は法律家の思考を解放する側面と、類似の事例に法的決定を一貫させるという効果をあわせ持つ、と主張します。そしてドグマ的思考のこうした積極面に着目することで、法律家集団内外からの法律家批判に適切に応じることができるようになるとしています。
また本書6章では特に所有概念が取り上げられます。近代的な所有権概念の成立後も所有をめぐる判例理論が展開しただけでなく、さまざまな私法の特別法が制定され、種々の公法的な規制が所有権に加えられてきました。その結果、所有の基本的な概念は同じままでも、その機能には大きな変化が生じました。この変化の背景に、ルーマンは、法律家たちの、所有概念をコアとする概念ネットワークを複雑化し、洗練させてゆく努力をみているわけです。さらに、所有の概念は近代社会を特徴づける経済システムの分出に対応するものなので、ルーマンは新たな理論装置を作ってはさまざまな角度からたびたびこのトピックに立ち戻ることになりました。
残念ながら本書は、ルーマンの理論装置がまだ未整備だったために分かりにくい面もあるのですが、この点は後年の『社会の理論』シリーズを参照することで明確になります。したがって、70年代のルーマンが、所有をめぐる諸制度と法思考についてどのように見ているかを知ることは、彼の理論の全体がどのように展開していったかを知るためにも有意義でしょう。そこで本講義では、という順序で、のちに「冗長性と多様性」や「構造的カップリング」といった術語で語られるようになる事態について、法解釈学を例に考えてみたいと思います。
- 第1講義[毛利担当]において、19世紀後半以降の法学方法論争史を概観したうえで、①法専門職における集合的概念操作のあり様(2-3章)と、それが②法と社会の関係を考慮する際に持つ意義(4-5章)について、本書全体の骨子を紹介し、
- 第2・3講義[酒井担当]において、特に「テクスト操作」と「所有」という二つの論題をとりあげて、同じ論題を扱っている後年の『社会の経済』『社会の法』『社会の政治』も参照しつつ主張内容を確認する
ゲスト講師紹介
- 毛利康俊(西南学院大学 法学部教授)
- 京都大学大学院法学研究科単位取得退学(1996年)。
著書に 『社会の音響学:ルーマン派システム論から法現象を見る』(勁草書房2014年)がある。
この著作では、ルーマンの理論を法秩序論の方法論として再構成し、若干の応用例を示した。最近では、システム論や推論主義意味論の観点から、法的思考・法解釈学の実態を適切に記述し、位置づけることを試みている。
「ルーマン『マスメディアのリアリティ』解読」概要
ルーマンの最晩年にあたる1995年に刊行された本書は、
放送局の依頼に応じて1994年におこなった講演ノルトライン・ヴェストファーレン州の科学アカデミーで行った講演の講演録(1995年) がもとになっています。
一方で本書は、「我々はどのような現実のなかで暮らしているのか」に関する判断材料を、他に凌駕・匹敵するもののない仕方で与えているマスメディアという制度に照らして・その観点から、現代社会のあり方を描こうとしたものであり、この点で『社会の理論』シリーズと同様の課題を持った著作だといえます。
他方で、「社会の理論+社会構造とゼマンティク」という著作群が「近代化」をテーマとし、それを主として概念史から素材を借りて論じようとしていたのと比べると、本書にはそうした性格は薄く、またそもそも「ゼマンティク」なる術語自体がほぼ登場しません。代わりにその位置には、(「スキーマ」「スクリプト」などといった)認知科学から取り入れた術語群が置かれています。
こうした事情に鑑みて、本講義では、
- 第1講義[高橋担当]において、ルーマン社会理論の中における「マスメディア」の位置を、特に「政治」との関わりにおいて特徴づけることを試みたうえで、
- 第2・3講義[酒井担当]において、こうした試みにおいて、どうして「ゼマンティク研究」とは異なる試みが行われたのかに注意しながら、テクストに即してその主張を確認してみたいと思います。
ゲスト講師紹介
- 高橋 徹(中央大学法学部教授)
- 東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了.博士(文学).
- 専門はコミュニケーション論、社会システム論。近年はこれらのアプローチを政治社会学に応用している。
- 主な著書:『意味の歴史社会学―ルーマンの近代ゼマンティク論』(世界思想社、2002年),『滲透するルーマン理論―機能分化論からの展望』(共著、文眞堂、2013年)ほか。
- 翻訳:N.ルーマン『社会の社会1・2』(共訳、法政大学出版局、2009年)、N.ルーマン『社会構造とゼマンティク3』(共訳、法政大学出版局、2013年)ほか。
「ルーマン解読:組織合理性の社会学」概要
1968年に刊行された本書では、ハーバート・サイモンの組織モデルをなぞる形で組織合理性の検討が行われています。しかし、どうしてこうした作業を行わなければならなかったのか判明には書かれていないため、この点に戸惑った読者は少なくないかもしれません。
晩年の著作シリーズ『社会の理論』の方から振り返って考えてみると、という二つの事情が見えてきます。そこで本講義では、
- 様々な社会領域を、それらのどれかを特別扱いすることなく検討していくためには、それを可能にするメタな視座・評価基準(~「システム合理性」)が必要だった。
- 「社会は 組織モデルで捉えられるものではない」という点を明確にするためには、組織に関する検討が必要だった。
という順序で、社会理論にとっての「合理性」概念の意義をルーマンがどのように捉えようとしていたのか考えてみたいと思います。
- 第1講義[三谷担当]において、周辺の時期における「合理性」に関するルーマンの議論を紹介したうえで
- 第2・3講義[酒井担当]において、本書の中核となる4章と5章の内容を確認する
※講義では邦訳テクスト( 馬場靖雄・上村隆広 訳、1990年、勁草書房)を使用します。お持ちでない方はお近くの公共図書館に購入リクエストを出してみてください。ゲスト講師紹介
- 三谷武司(東京大学大学院情報学環准教授、翻訳家)
- 東京大学大学院人文社会系研究科単位取得満期退学。専門はルーマン研究。主な論文として
など。主な訳書として
- 「システム合理性の公共社会学――ルーマン理論の規範性」(盛山和夫・上野千鶴子・武川正吾(編),『公共社会学1 リスク・市民社会・公共性』,東京大学出版会,71-86頁,2012年)
- 「システムが存立するとはいかなることか――ルーマン・システム理論の超越論的解釈に向けて」(『思想』970,岩波書店,113-129頁,2005年)
など。
- ウンベルト・エーコ『異世界の書――幻想領国地誌集成』(東洋書林,2015年)
- ローター・ミュラー『メディアとしての紙の文化史』(東洋書林,2013年)
概要
これまでも比較的よく読まれてきたルーマンの小著を、彼の研究構想全体に関連づけて、また〈大陸における社会理論の伝統への対峙〉と〈北米の行動諸科学の摂取〉という二側面に注目して読み解く講座の二冊目です。今回とりあげる 『制度としての基本権』は、憲法学におけるいわゆる「人権論」を社会学的に基礎づけ直そうとしたものですが、〈コミュニケーション理論によって内実を与えられた機能分化論〉を中心に据えた社会理論の構想を最初に提示した著作であるという点で、ルーマンの数ある著作の中でも特に重要なものです。
- 講義1では、この10月に、ルーマン社会学をカール・シュミットとの対抗関係から解明した著作『市民的自由主義の復権』を刊行予定である小山 裕さんを招き、ドイツ公法学における論争的課題とルーマンの応答、またその後のルーマン理論の展開に対する本書の位置と意義などについてうかがいます。
- 講義2と3では、価値論として語られがちだった上記課題に、アメリカで勃興してきた行動科学の知見やアイディアを援用して取り組もうとしたルーマンの議論を、幾つかの章を取り上げて解説します。
開催日
第一回 2015年 10/09、第二回 11/13、第三回 12/04
受講料
- 会員・一般 (会員 9,072円/一般 11,016円)、ユース学生会員 (3,888円)
- 「初回のみ」の受講も可能です: 会員・一般 (会員 3,456円/一般 3,888円)、ユース学生会員 (2,160円)
ゲスト講師紹介
- 小山 裕(東洋大学社会学部講師)
- 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。東京大学文学部助教を経て現職。
主著に 『市民的自由主義の復権』(勁草書房より刊行予定)。
主な論文に「ニクラス・ルーマンの政治思想」『思想』(2015年 1月・2月・3月)、「観察する科学としての社会学の誕生」『現代思想』(2014年12月)など。
概要
これまでのルーマン像は、次々に出版される特定の時期の著作群の内容に大きく左右され・変転してきました。しかし『社会の理論』と『社会構造とゼマンティク』という二つの著作シリーズが刊行されてみると、これら膨大な著作群の多くが、30年をかけて追求された一つのプロジェクトのパーツであったことが分かってきました。(そして現在では、このプロジェクト、2シリーズのほとんどに翻訳でもアクセスできるようになっています。)
こうした状況を踏まえ、この講座では、これまでも比較的よく読まれてきたルーマンの幾つかの小品を、上記研究プロジェクトに関連付けて──また「アメリカの行動諸科学を摂取しつつ・大陸の社会理論の伝統に対峙する」というルーマンの二面性に留意しつつ──改めて読みなおします。
- 講義1(4/20(月)): ルーマンの研究プロジェクトの紹介と帰属理論入門。
- 講義2(5/18(月)): 『リスクの社会学』の構成の確認。
- 講義3(6/29(月)): 小松丈晃さんをゲストに迎え、本書出版以降の研究動向なども含めたリスク研究におけるルーマンの議論の意義についてうかがいます。
受講料(税込み)[4月~6月(3回)]
- 会員 9,720円、一般 11,664円、学生会員 3,888円
ご案内
ニクラス・ルーマン (著), 小松 丈晃 (翻訳) 『リスクの社会学』(新泉社)をお持ちの方はご持参ください。(テキスト持参は必須ではありません)
ゲスト講師紹介
- 小松 丈晃(東北大学文学部 准教授)
- 大学教員。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。 専門は社会システム論、リスク研究。
主な著書として、 『リスク論のルーマン』(勁草書房、2003年)、「リスク社会と信頼」(今田高俊編『リスク学入門4』岩波書店、2007、109-126頁)、『滲透するルーマン理論―機能分化論からの展望』(文眞堂、2013年、高橋徹・春日淳一との共著)他。